ロシア製トイカメラのいい加減さに惚れる。

スメナ8Mというカメラを愛用しています。中古なら数千円で買える旧式トイカメラです。プラスチック製のいかにもチープなボディ。ロシア製というのもなんだかマニアック心をそそられます。撮影の仕方もひとくせあります。絞りやシャッタースピードなど一応調整できるのですがもちろんアナログで操作はしづらい。1枚撮るごとに調整するのは現実的でないので絞りはできるだけ開いてF4、手ブレを避けるためにシャッタースピードは晴れの日モード(一番短く)に固定して使っています。こうすることで明るい屋外であればほとんどの場合ちょうど良い具合に整った写真が撮れます。ピントの合わせ方もかなりいい加減。1m、1.2m、1.5m、2m、2.5m、3m、4m、8m、∞の大雑把な目盛りに合わせたあと、被写体と自分の距離がそのぐらいになるように目分量で自分の立ち位置を調整するという方法です。といっても8mとかの距離感を正確につかめる人は少ないと思うので、風景などを撮るときは∞に、それ以外は1.5mとか2mに固定しておいてその距離感を体で覚えながら被写体に近寄ったり離れたりをいろいろ試してみるのがおすすめです。先程の絞りやシャッタースピードの設定にした上で2mぐらいにピントを合わせると、案外きれいに背景のボケ感も得られます。デジカメやスマホに慣れている人には信じられないと思いますが、このカメラは一切電力を使いません。そのため、シャッターを切るにはボタンを押すだけではだめでシャッターチャージレバーという拳銃の引き金のようなものを毎回ガチャリとセットしなくてはいけません。またフィルムの巻き上げももちろん手動。1枚撮影するごとにぐりぐりとダイヤルを回します。

スメナ8Mで撮影した1枚(伊豆大島)

たしかにとても面倒なのですが、アナログならではの楽しさもあります。プログラミングと同じでランダム性や意外性を持っているところです。ちょっとした光の加減や設定具合でまったく想像していなかった幻想的なトーンの写真が撮れることがよくあります。また必要な操作が多い分人為的なミスも誘発しそれが表現にも表れます。上の写真は1枚撮影したあとフィルムの巻き上げ作業をし忘れたままシャッターを切ってしまった失敗例。同じコマに2枚の写真が焼き込まれてしまっています。これはこれで印象的な1枚になりました。ちなみにこれを狙って意図的にやる撮影手法は多重露光と呼ばれるそうです。

スメナ8Mに限らずすべてのフィルムカメラ全般に言えることですが、カメラ自体以上にどんなフィルムを使うか、どうやって現像するかによっても仕上がりのトーンは大きく違ってきます。上の例はビビッドな色合いが特徴的なAGFAのVISTA400というフィルムを使っています。現像とプリントは東横線学芸大学駅近くにあるモノグラムさんにお願いしました。彩度強め、フチあり、マット紙で、など色々なわがままに応えてくれるとても楽しい店です。