アナログをデジタルにしてまたアナログにする。

世の中にはデジタルで完結する素晴らしいクリエイティブもたくさんありますが、個人的にはアナログが絡むものが好みです。例えば身の回りのものをスマホで撮影して加工してプログラミングでレイアウトして作るというような。食べ物とか建物とか、日常的なアナログな素材を自然ではちょっとありえないような違和感のある並べ方をするとそれだけでアートっぽくなるような気がします。本当のアーティストさんには叱られてしまいそうですが。全く既視感の無い、デジタル生まれの斬新なビジュアルにも魅力がありますが、やはり見覚えがあるどこか懐かしいモチーフが好きです。

このサンプルは街の中でフィルムカメラで撮ったとてもアナログな写真素材をデジタルに取り込んでから、JavaScriptでランダムな2箇所を正方形に切り取って入れ替えるという作業を2,000回繰り返して作ったものです。この作業はデジタルじゃないとさすがにできない。また、あとになって正方形の大きさを変えてみようと思ったとして、アナログだったら一度切り刻んでしまった写真はもう捨てるしかありませんが、デジタルなら何度でも納得行くまで試行錯誤を繰り返せるという点も大きなメリットです。さらに欲を言えばそうやって作ったグラフィックを布地にプリントしてキャンバスに張って壁にかけたりできたらたまりません。そういう意味で、私が一番好きな制作パターンはアナログ→デジタル→アナログなんだろうなと思っています。人間の目や耳がアナログである以上、アナログなものしか感じられないわけで、ディスプレイ上の画像もスピーカーから聞こえる音声もアナログなのですが、出力したイラストを額装したり、オリジナルのプリント生地で服を作ったり、3Dプリンターでオブジェを作ったり、そういう手触り感のあるアウトプットにこだわっていきたいなと。

そんなことを考えていた矢先、新聞でサイバー和菓子というプロジェクトを知りました。その日の気象データを独自のアルゴリズムで形状や色をデザインし、3Dプリンタに餅や餡を投入して練りきりのような和菓子をアウトプットするという。デジタルを道具として活用しながらも、入り口と出口でアナログを重視したアイデア、すばらしいです。